営業の言葉に騙されない

学習塾などの教育サービスビジネスは、ほとんどが「月謝」、もしくは「ポイント」を購入した上で授業を受けてもらうようなスタイルをとっています。それはひとりの顧客から継続的に売り上げを上げることができるということです。

そのような「会員制ビジネス」においては「新規顧客の獲得」ということと、「顧客の定着」ということが大きな軸になります。塾の場合は、新しい顧客を捕まえることができれば、その顧客は一定期間通い続けることになります。それは「受験が終わるまで」といってもいいかもしれません。中学一年生から高校卒業まで、計6年間塾に通い続けたとしたら、月謝が一万円だったとしても、ひとりの顧客はその塾に対して通算72万円もの費用を支払うことになるのです。そして、生徒が100人いれば、毎月100万円の月謝収入が得られます。

そのように「会員ビジネス」のポイントは「定期的に通う」という点と、毎月収入がある点です。そして、学習塾はもっとも「辞めづらい」ものでもあります。もし辞める動機があるとすれば、それは「成績が上がらないから」ということや「引っ越すから」ということが理由として挙がるかもしれません。ただ、「引っ越す」ということに対しては全国規模で展開している教室であれば、その地域に同じ系列の教室があるかもしれません。そのような場合、違う場所で同じ企業が運営する塾に通ってくれるかもしれません。

このような「会員」ビジネスでは一般的な小売ビジネスとは考え方が違うのです。多少の費用をかけても、「通い続けてくれる顧客」を捕まえることに審決を注いでもいいのです。一般的な小売でも、「リピート購入率」などを計算し、一回目の購入は単体のオーダーで赤字でも良いということになるかもしれません。ですが、その「リピート」は約束されたものではなく、あくまでも「平均値」として考えるしかないものでしょう。ですが、学習塾をはじめとした教育サービスは違います。通ってくれている限り、月謝は毎月入ってくるのです。通っている限り、サービスの本分である「学力向上」を提供していれば、毎月決まった顧客から決まった売り上げが立つのです。

だからこそ、「新規獲得」のための「営業」に対しては各学習塾とも必死なわけです。専門の営業マンをそれに充てたり、費用をかけて宣伝したりするわけです。学習塾の基本は「対面営業」です。営業マンと面と向かって話すことが手続きの基本なわけです。ここで決め手になるのは「営業マンのトーク」です。その「トーク」に惑わされないようにしたいのです。合格率などの「実績」が学習塾にとっては唯一の武器ではあります。ただ、それだけでは自分の子どもに対して本当に効果的かどうかはわからないのです。それを試すことができるのは「体験授業」であったりするのですが、その機会こそが相手にとっては絶好の営業ポイントになります。自分の子どもに期待をかける親の気持ちというものを、相手は手に取るように把握しているのです。そのような状況で営業トークをかけられてしまうと、思わずすぐ契約してしまうのが親の心理です。ですが、本当にそこで良いのかどうか、じっくり本人と話し合うことが大切なのです。